K研昼ゼミ論文紹介その2「The Latitudinal Gradient in Recent Speciation and Extinction Rates of Birds and Mammals」*3

 これまで、陸上の生物においては低緯度ほど多様性が高いという種多様性のパターンが、数多くの研究で観察されてきました。そのパターンの説明としては、「低緯度環境では種分化速度が速いためだ」と考えられてきました。しかし、この研究によって逆のパターンであるという結果が得られました。


 方法は、哺乳類と鳥類の姉妹種の分子データと生息域のデータから推定したのだそうですが、色々説明してもらったのにも関わらず、まとめなおせるほどには理解できませんでした。分子データによって姉妹種の分岐年代の測定を行い、それら*1と現存の種数を使って(?)絶滅速度と種分化速度を推定したらしいです。推定には更新モデルの一つであるbirth-deathモデルを使ったようです。そもそも現在の姉妹種の組み合わせから、種分化速度はともかくなんで絶滅速度まで分かるのか、まとめなおしてみるとびっくりするくらい理解できていません。。。多分すごくあたりまえの事実を見逃しているのだろうな。。。へこむ。


 結果は、低緯度環境では種分化速度が小さいが、絶滅の速度はさらに小さく、高緯度環境では種分化速度が速く絶滅のスピードも高いために、このようなパターンが得られるということが分かったそうです。さらに、高緯度環境と低緯度環境では、姉妹種の分岐年代に大きな差があり、高緯度ほど最近分岐した種が多いのだそうです。


 結果自体がすごく面白いので、色々とみんなで議論できるかなと思ってちょっとなげかけてみたんですが、だれも乗ってくれなくてすごく寂しかったです。その中で一つだけ。K教授曰く、低緯度環境では絶滅の速度が小さいということは、多様性に対する中程度かく乱説に対しては否定的であるとのことでした。私は中程度かく乱説は、あくまで絶滅まで引き起こさない中程度のかく乱が、生物のabundanceを非平衡に保つために有効であると言っている説だと思っていたので、良く理解できませんでした。絶滅に対しても「中程度」ということばが適用できるとは思っていなかったから。どうなんだろう。即座に反応できなくて残念でした。もっと頭の回転がよかったらなぁ。今度つかまえて聞いたら答えてくれるのかなぁ。。。

*1:ハプロタイプの分岐年代と種分化年代ではずれがあるそうです。