あさのあつこ「弥勒の月」

なにっ!あさのあつこの時代小説か!と、思ってつい読んでしまいました。あさのあつこブームだなぁ。。。


主人公?の名前が伊佐治という40代の岡っ引きなんですが、なんで時代小説の岡っ引きってみんな伊がつくんだろう?とか考えていたら、あさのあつこさんは藤沢周平ファンであったようで。なるほど。なんだかどうしても伊のつく岡っ引きはみんな若くて賢くて男前で強くて、でもちょっと影があるような気になってしまうのは、やはり藤沢周平のイメージが強いからなんだろうなぁ。ちなみにこの本の岡っ引きはもっとまっとうな感じです。寝るときには膝が痛いとか言っているので、もうそれ程若くもない。他の二人の主役級の人物の方が上記のイメージには近そうです。


この本自体はおもしろいです。でも、この作家の本を読んでいると、なーんとなくいつも単調な気がしてしょうがないです。なんでかよーく考えてみたのですが、多分、同じ舞台設定で男女の心理描写が混じらないからじゃないかと思い始めました。主役級の登場人物の性比がいつもどっちかに偏る感じがします。出番の回数の問題じゃなくて、物語にからむ重要度とか、エピソードを越えての変化とかがこの本の場合は男性に偏っている。バッテリーも男性ばっかりだったし(唯一女の人と言えば、巧のおかあさんくらいか)。児童書のほたる館物語シリーズは女性ばかりだった。なんででしょうね。