U研論文読み会その2:Carbon pathways to zooplankton: insights from the combined use of stable isotope and fatty acid biomarkers*5

通常は、ある種がどのようなエサをどれくらい摂食しているかどうかを野外で測定することはそれほど用意ではない。それが動物プランクトンなどの小さい生き物であれば尚更だ。それを調べるために、これまで安定同位体比を用いて来た。しかし、安定同位体比を使って調べるには限界がある。例えば、植物プランクトンの死骸を直接食べるのか、それともその死骸を使って増殖したバクテリアを食べるのかということは安定同位体比では区別できない*1。しかし脂肪酸をbiomarkerとして用いると、それを区別できるという論文。しかし、定量的なところまでは分からないらしい。むしろ、使っているかいないかを調べるくらいの精度で。おそらく、安定同位体と一緒にセットで使うものだと思います。


実験的に使えるかどうかを確認した論文はあるようなので、実際に野外を調べてみた、ということらしい。もともとバクテリア植物プランクトンでは合成する脂肪酸のタイプが異なっており、植物プランクトンには直鎖状の必須脂肪酸が多く含まれるが、バクテリア飽和脂肪酸が多い。そこで、動物プランクトンが脂肪酸をエサから摂取したものをそのまま体に使わずに新しく合成しない限りは、このどちらが体内に存在するかによって、何を食べているかいないかが明確になる、とのこと。


しまった。方法論の新しさに注目し過ぎて、結果をすっかり忘れ去っています。ええと、確か二つの湖で、2年間動物プランクトンの炭素安定同位体比と、total Pと、TOC、DOC、Chl aの量、炭素安定同位体比を調べているというもの。で、どちらかの湖では2年目に大水かなんかがあって、大量にDOCが流れ込んで来て動物プランクトンのエサになったということが分かりました。というような結果だった気がする。
ううう。もう一度論文に目を通してみます。

*1:なんでだっけ?植物の死骸をバクテリアが食べるときには炭素や窒素の安定同位体比は変化しないのだっけか?よく考えたらよくわからなくなってきました。もう一回誰かに聞いて来ます