N先生のセミナー:「林冠の生態学」

赤道近くのアジアの熱帯雨林にでっかい回転式のタワー*1を立てて、木々の生態*2を調べている人。フィールドの研究はやっぱりスケールが大きくなると、すごいことになる。びっくりです。
そもそも、林冠クレーンが何で必要なのか?というと、たかーい木の上で、どんな生き物が、どれくらい、どんなふうに生きているかなんて詳しく調べる方法が、他になかったかららしい。調べることが出来るようになったのはここ10年くらいのことで、それまでは、ひたすら木登りするか、木登りした上にやぐらを組むか、高い木と木の間につり橋を下げるかくらいしか出来なかったらしい。林冠クレーンがあれば、ゴンドラが降りられる場所ならほぼどこでも調べられる。
トピック的に面白かったのは、一斉開花の話。一斉開花とは、ある地域の熱帯雨林の森一つ全体が、ある年にだけ花を咲かせるという現象。周期は殆ど決まっていないのだけれど、とにかく、ある決まった年にだけ色んな樹木の花が咲く、他の年は咲かない、というものらしい。
それらが実際にどういうタイミングで起こっているのか、実際にどれくらいの種類の樹木が一斉開花に参加しているのか、また、なにが引き金になっているのか、適応的意義は何か?などについて、たくさんの研究をダイジェストで説明していただいた。面白かったけど、もっと詳しく一つずつ聞きたかった。


新しい知識

  • 林冠クレーンの存在
  • イチジクの仲間は一斉開花に参加しない
  • 一斉開花は、乾燥が引き金になっているようだ

*1:正式名称林冠クレーン写真。てっぺんにゴンドラのついた長い棒がついている。それが回転することで、その長さを半径とした円のどこにでもそのゴンドラを落とすことが出来る。つまり、高さ:タワーの高さ、直径:棒の長さ×2の円筒のどこでも調査が出来るというすぐれもの。ちなみに、タワーの高さは80m、棒の長さは75mとかだったかな。日本では北海道にあるそうです。

*2:熱帯雨林の木々は高さが50mなどになるので