U研論文読み会その2(ずるっこ更新)

Y君の「Mechanisms regulating zooplankton populations in a high-mountain lake」*1
一般に、高い山の湖沼には魚がいないことが多く、そのためにそれらのエサになる動物プランクトンが多い場合がある。では、湖沼に人為的に魚を放流したら動物プランクトンの集団はどうなるか?という論文。
結果は、何の影響もないようだとのこと。どうしてかというと、放流される魚は成体で、動物プランクトンをエサとしないから、だって。その上、放流された成体の魚は、繁殖しないので*2、稚魚も生まれない。
えええっ。なんじゃ、そら。。。ちょっとひどいんじゃないの?と私は思ったが、U先生曰く、「この論文の解析方法は、一通りみんなが出来るべき解析だから、きちんとおさえておくように」とのこと。はぁ、どんな論文にも学ぶべきことがあるとは、このことですね。
基礎知識

  • 一定期間毎の個体数のサンプルがあると、増殖率の推定が出来る。
  • 卵が親から栄養を与えられないような種では、温度によって卵発生時間*3を推定することが出来る。この方法をegg-ratio法という。

*1: Monika Winder, Hans Rudolf Burgi, and Piet Spaak,Freshwater Biology, 2003 48, 795-809

*2:おそらく、繁殖するための場所がないのだろうとのこと

*3:産卵されてから孵化するまでの時間