U研論文読み会その1

今日の論文読み会も長かった。いや2時間半くらいだけど。これっぽっちの時間の集中力を維持するのにも結構大変というのは、まずいっすね。。。それと今日の論文はちょっと古いのが多かったなぁ。。。いや、中身は面白かったからいいけど。いかにも続きがありそうな論文を紹介されると、その先が気になってしまう。
S君:ECOLOGICAL HISTORY AFFECTS ZOOPLANKTON COMMUNITY RESPONSES TO ACIDIFICATION*1
ある群集が、環境変化にどのように応答するのか?ということは、過去にそのストレスにさらされたことがあるかどうか?ということが、とても重要なのではないか?という論文。ここでの環境ストレスは、水質の酸性化のことで、群集は動物プランクトン群集。
ある湖で、過去に酸性化の実験をしたことがある場所とない場所で、エンクロージャー(囲い)で動物プランクトンを飼育する。囲いには2種類あって、硫酸を入れる囲いと入れない囲いで、動物プランクトンの種組成とbiomassを比較した。すると、過去の酸性化の実験をしたことがある場所では、酸性化した囲いとしない囲いの間で、動物プランクトンのbiomassに変化がない種が結構多かったけれど、酸性化の実験をしたことがない場所では動物プランクトンの大半の種でbiomassに変化が見られた。しかも、その違いは環境の他の要因でなく、動物プランクトンの集団そのものに由来しているだろう、という結果。進化かもしれない。それを確かめる実験をすると面白い!とDiscussionされていたらしい。
しかし、1st AutherのFrostという方はこの論文が出た後、ちょっとしてから亡くなってしまったので、恐らく続きの論文はないだろう、とのこと。もったいない!続きが知りたい。
基礎知識

  • 動物プランクトン群集の中でも、DaphniaはpHの変動に結構センシティブ。でもBosminaなんかは、酸性に対して耐性を持っているらしい。
  • pHによって、動物プランクトンのエサである植物プランクトンも、種組成、形態などpHの違いに様々な応答を示すことがわかっている。
  • pHの変動にDaphniaがセンシティブなのは、エサが変わるからか(間接的)、pHが変わるからか(直接的)、両方が原因なのかは不明。

*1:JANET M. FISCHER, JENNIFER L. KLUG, ANTHONY R. IVES, AND THOMAS M. FROST,Ecology, 82(11), 2001, pp. 2984-3000