荘司菊雄「においのはなし―アロマテラピー・精油・健康を科学する」

要は、精油の化学の入門的本なんですが、日本語の入門をうたった本にありがちな「筆者だけが入門的」だと思っているようなタイプの本です。やさしい言葉で難しいことを説明しようと言う努力はわかるけれど、言葉が出てくるずっとあとに言葉の説明をしても仕方ないだろうとか、化学系の学部卒なら常識なのかも知れないけど、高校有機化学もほとんど覚えていないような読者には難しい単語が出てきたりとか(だって習わなかったんだもの)、とにかく筆者の入門書を書くスキルは低そうでした。もっと校正すれば良かったのに。
でも一方で良いところもあります。それは、有用なことがさらっと書いてあるということ。例えば、p128の化学種別薬理作用一覧なんかは、「筆者の主観が入っている」とただし書きがしてあるけれども重要な情報だと思う。そして、重要な情報を大量過ぎずにさらっと書くのは、入門書の役割のひとつでしょう。そういう意味で、この本は気に入りました。