豊かさについて

 しばらく前に、豊かさについて書くといいつつ、ほったらかしになっていました。書いてみようと思います。


 多くの場合「豊かさ」というとぱっと連想されるのは、お金のようです。私が学んでいる「ビジョン心理学」では*1、「お金とはエネルギーである」といいます。なれないとわかりにくいかもしれないですが、お金についての「使うとなくなるのではなくて、別の人の手に渡る、流れるものである」という側面や、「使うということは、何かをなすということである」というような側面について、うまく言い表しているなぁ、と思います。


 もし、この考えが正しいとすれば、「お金をどれだけ持っているか」は、「どれだけのお金が、自分を通ってゆくか?どれだけ使って、どれだけ入ってくるか?」ということと、「どれだけ自分のところにキープしているか」の二つの側面として捉えることが出来るような気がします。そして、豊かさというものは、一つ目の「どれだけ使って、どれだけ入ってくるか?」が特に重要であるように感じられます。


 私の今の指導教官であるI教授は、大学の先生にしては驚異的な量の「お金」を扱っておられる方です。個人的にも、公人としても大変豊かです。観察したところによると、その理由は、結局のところ「どれだけたくさんの人と、どれだけたくさんのやり取りをしているか?」にかかっているような気がします。ここで言うやりとりとは、お金に限らず、感謝の気持ちや、知識、お互いを触発するような元気であるとか、物資、業績、そういうすべてのものです。そして、多くの場合、人と人が何かをやり取りをするとき、最終的には「お金」でそのやりとりの大きさが測られます。だから彼のまわりには「お金」があふれているのではないかと思うのです。


 たとえば、彼が本を書くとき、その知識を与える相手として想定されているのは「数多くの日本語を読める人」です。ですから、うまくその本の中にある知識が多くの人に手渡されれば、大きなお金が彼のもとにもたらされるわけです。しかし、私がこつこつと書いている論文は、基本的には「数少ないこの分野の興味を持つ人」が対象となります。なので、もともとそれほど多くのお金がもたらされることが想定されていないわけです。


 とても当たり前のことのように感じられますが、実際に大きなお金をやりとりしている人を目の前にすると、この真実をしみじみと感じることが出来ます。「たくさんの人に、自分の何かを与える」という基本的な考えが、「豊かさを生み出す秘訣」であるということだよなぁと思うのです。

*1:他の心理学でもそういっているものがあるかもしれませんが