U研論文読み会LAND USE, PRIMARY PRODUCTIVITY, AND LAKE AREA AS DESCRIPTORS OF ZOOPLANKTON DIVERSITY*1

 湖の動物プランクトンの種多様性に対して、集水域*1の土地利用率*2の高さがどう影響するのか、ということをメタアナリシスで調べた論文です。


 湖の動物プランクトンの種多様性は一次生産と一山形の関係があること、湖面積と正の関係があるということが知られているので、一次生産、湖面積、土地利用率の3つに対して、種数との関係を調べ、さらに、土地利用率が1%以下のものとそれ以上のものを分けて、同様の傾向を調べました。


 傾向としては、まず全ての湖において土地利用率と一次生産の間に正の相関があること、さらに、1%以上の土地利用率を持つ湖のなかで土地利用率と面積の間に正の相関があるのだそうです。そして、全ての湖では、面積と種数に正、一次生産と種数の間と土地利用率と種数の間に一山形の関係があるが、土地利用がされていない湖(1%以下)では、面積と種数の間の関係はなく、生産性と種数の関係にのみ正の相関(一山形ではない)が見られるらしいです。そして、土地利用率の高い湖では、面積と種数に正、一次生産と種数に有意ではないが負の傾向、土地利用率と種数の間に一山形の関係があるのだそうです。
 まず面白い結果として、土地利用率の低い湖では面積と種数の間に関係がなくなること、それと、全ての湖で一山形が見られた一次生産と種数の関係は、もしかすると土地利用率がされている湖とされていない湖で分けると全く違うパターンが見られる可能性があるということでした。


 正直言って何が面白いのかよくわからない論文でした。好みのタイプの研究なはずだけど、学術的にどんな意義があるのかが理解できなかったです。それとは別にいくつかのマメ知識を得ました(笑)。


新しい知識

  • 統計のお作法その1:独立変数の数は自由度の1/10くらいまでが目安。それ以上は駄目。何故駄目なのかはよく分からないですが、AICを使うときの目安かもしれません。
  • 統計のお作法その2:サンプル数が少ないときのAICAIC_cというのがあり、-2ln(L)+2k(n/n-k-1)だそうです。L:最大尤度、k:パラメータ数、n:サンプル数
  • 統計のお作法その3:サンプルを検定にかける際にはサンプルが*3正規分布している必要があることがある。比率がデータの場合には正規分布に近づけるためにArcSin変換する。対数変換と似たようなものらしいです。
  • ArcSin変換したもののルートをとると、少なくとも0に近い値はデータはばらつきが大きくなる。図は、0から1を0.001刻みでy=sqrt(arcsin(x))の曲線をプロットしたものです。



 個人的には変数変換はあまり好きではありません。なんか無理やりな感じがして。

*1:湖に流れ込む水がやってくる土地全てのこと。

*2:よく分からなかったですが、集水域の土地面積に対して人工的に使われている土地の面積の比を取ったものらしいです。宅地、工業地、田畑、道路などが含まれるらしいです

*3:母集団が?だっけ?