コンピューターシミュレーションを使って進化をモデリングするときの突然変異率に関する注意点

先日、Gさんとパスタ皇子と3人で、コンピューターシュミレーションを使って進化をモデリングするときに、突然変異率をどのように設定するかということに関して、一般的な注意点を話しました。忘れるともったいないのでメモしておこうと思います。

  • 突然変異率の値は、何の進化をモデリングしているのか、どこまで具体的な生物的性質を仮定するのかによって、妥当な仮定値が異なる。例えば、一つの形質の進化をモデリングするために、形質値のランダムウォークを仮定するのか、複数の、もしくは一つの遺伝子座を仮定して対立遺伝子の突然変異による進化を仮定するのか、などによって想定すべき突然変異率は異なる。
  • たいていは、10E(-4)〜10E(-7)くらいの値を想定することが多いようだ。*1
  • 複数の形質の進化をモデリングしているとき、一個体の中に複数の突然変異が高頻度であらわれるようでは、想定した突然変異率は高すぎるかもしれない。
  • 進化速度が結果に影響するような研究の場合には、複数の突然変異率で計算をしてみるべきである。
  • 1世代で集団の中に突然変異個体が蔓延する(?)ような突然変異率は、突然変異率が高すぎる。



勘違いしているところがあったらご指摘くださると嬉しいです。問題提起をしてくれたGさん、いくつかの私には思いつかない注意点を教えてくれたパスタ皇子に感謝です。

*1:ちなみに、10E(-5)以下にすべしという考えは、統計の有意水準みたいなもので、コンセンサスのある(?ないかも?)ルールのようなものではないかと私は考えています。