K研昼ゼミ:パスタ皇子の論文紹介「Sexual Reproduction Selects for Robustness and Negative Epistasis in Artificial Gene Networks*1」(ズルっ子更新)

遺伝子がネットワークを構成している場合に、有性生殖の結果として、突然変異の相乗的な有害性(負のエピスタシス)が起こる、ということをモデルを使って示した研究。こう書くと、何がなんだかわからないですね。
性の進化というのは非常に昔から注目されてきた一つのトピックである。様々な生物で、無性生殖から有性生殖に進化したり、その逆のことが起こったりしてきている。で、性の進化の研究においては、有性生殖がどういう条件で進化しやすいか?ということがまとめられている。その中の一つに、(比較的小さい)有害な突然変異が積み重なったときに、相加的ではなく、相乗的に有害になる場合*1に、有性生殖が有利になるという仮説*2がある。


この論文では、生物が遺伝子ネットワークを持っていることを仮定して、有性生殖をする場合と、しない場合をモデルで構築し、有性生殖の場合にのみ負のエピスタシスが生じるような遺伝子のネットワークが進化することを示した。このことで、有性生殖があることで、負のエピスタシスが起こり、より有性生殖が無性生殖よりも有利になる可能性を示した。


負のエピスタシスがあると、どうして有性生殖が有利になるかということが、結果としてイマイチわからなかったのが、残念だった。ううむ。負のエピスタシスがないときでも、有性生殖のほうが弱有害遺伝子の蓄積時のパージ量は多くなりそうな気がするのだよなぁ。やっぱり。
遺伝子の数が重要かもしれない、というY助手の意見は、この日記をまとめていて、今頃になって分かって来たような気がします。ううう。
それにしても、パスタ皇子の説明は、相変わらずボリュームが多い。色々調べててえらいのは分かるけど、もうちょっとはぶいてくれてもいいんじゃないかと私は思うぞ。もうちょっと聴衆にヤサシクして欲しいなぁ。

*1:有害さ1の突然変異+有害さ1の突然変異=有害さ3になる、みたいなかんじ。これを負のエピスタシスというらしい。

*2:?証明があるのかな?