荻原規子:樹上のゆりかご

一言で言うと、女子高生の成長物語。元男子校の共学高(学生の男女比は2:1)に通う女子高生が、合唱祭、体育祭、文化祭を通して、視野を広げてゆく過程が描かれる。作者は「西の善き魔女」シリーズの人で、そちらが面白かったので、こちらも読んでみた。
この本のテーマは恐らく、『「世界の中の自分」を自分としてどう捉えるか?自分の立ち位置をどう決めるのか?』ということだとおもう。自分が比較的マイノリティであるとき、どうやって自分を失わずに、世界と自分を向き合わせるか?という問題は、結構色々な人間関係の問題の根っこにある気がした。主人公と主人公の友達2人は、様々な事件に対して、それぞれのやり方で自分を位置づけてゆく。世界に真っ向から対抗しようとしたり、完全に順応させようとしたり、世界と距離を取って自分というものを知ったりする。その過程がとても面白い。自分が高校生のときに、こういう本に出会っていたら、どう感じただろうか?とても気になる。