医師が認めたアロマセラピーの効力

 ヒステリックで説明が一貫しない部分が多々ある、不正確なもしくは不明瞭な記述がある本だった。「アロマセラピー」をそれほど明確には理解していない人に対して、情緒的に「アロマセラピーの本質(と筆者が考えているもの)を理解してくれ!」と動機付けすることは出来るのかもしれないけど、「医師が書いた」ということによる情報を受け取る側としてのアロマセラピーのアドバンテージはそれほど高くない本だと思う。
 アロマセラピーの入門書において、「これこれの物質にはこういう特性があるので、その物質が多く含まれるこの精油を使うと効果的」という説明は殆どなされないのが現実だと思う。普通の本は「これこれの精油なぜかははっきりしてないけどこういう効果があるといわれているから、こういうときに使いましょう」という記述が殆どだ。確かに、精油の効能においては原因と結果が明確でないことが多いのだけど(厳密に言えば薬の殆どはそういう側面が多少なりともあるとは思うけど)、医師が書いたということをアドバンテージにするなら、その部分をなるべく強調的に明示することが重要なんじゃないかと思う。でも、実際にはやっぱり普通の本と同じで、「この精油にはこういう効用があると言われているからこういうときに使え」ということしか書いていない。この本を読む上でのアドバンテージは、単に「こういうときに使え」の症状に対する対象が、病気などの名称に置き換わっていることと、多少適用範囲が病気(とよく言われる症状)のほうにシフトしているという程度のものだった。次に読む「医師によるアロマセラピーの本」には、そういうことを期待したいなぁ。