U研論文読み会

1)Effects of microzooplankton and mixotrophy in an experimental planktonic food web*1
 ギルド内捕食者を含むfood-webを貧栄養と富栄養の系で比較したもの。理論の先行研究では、ギルド内捕食者が存在すると、貧栄養環境では同一ギルドの捕食者(ギルド内捕食者にとっては被食者となる)を駆逐してしまうという予測があるらしい*2。けれども、この研究ではそうはならなかったらしい。多分、栄養環境とかの問題ではなくて、(普通の)捕食者にとってのエサ資源が2種類あるという系の構造が安定共存のキーポイントなんじゃないかと思う。
2)Zooplankton community structure and environmental conditions in a set of interconnected ponds*3
 河川で繋がっている湖沼群の一つづつについて、動物プランクトン、植物プランクトン、大型水生植物のbiomass、種構成などを調査して、それと環境要因のパラメータとの間に関係があるかどうかを調べた論文。ある生物群集のbiomassや種構成は、他の生物によって決まるのか、それとも環境要因によって決まるのか?ということを調べている(らしい)。前にも出てきたけれど、RDA(冗長性解析)という手法を用いていて、私にはよくわからなかった。。。U先生の解説によると、この論文では冗長性解析を以下のように使っているらしい(聞き間違えてるかも)。

  1. ある生物のbiomassと環境要因で主要因分析する。
  2. ある生物のbiomassと他の生物の要因で主要因分析する。
  3. 2つの主要因分析の第一主要因同士で相関?を取る。

 ホントか?それでどうやって環境要因で決まっているか、他の生物の要因で決まっているかを説明できるんだろう?それとも、論文の骨子を理解し間違えたのなぁ?結果としては、湖沼群の中には、透明度が低くて富栄養な湖と、透明度が高くて貧栄養な湖と、その二つの中間の湖沼が存在することが分かったらしい。
 U研の論文読み会は、ハードだと思う。論文の図表とアブストをプリントにして配るだけで、あとは発表者の言葉を聞きとるしかないというゼミ。準備万端のレジュメやスライドでやるわけではないので、必死になって発表者の言葉を聞き取らないと、どんどん大事な情報が抜け落ちてしまう。しっかり考えていないと、抜け落ちたことにすら気が付かないであとからアレレ??ってことに。集中力が鍛えられそうなゼミだ。

*1:Robert Ptacnik,1 Ulrich Sommer, Thomas Hansen, and Volker Martens,Limnol. Oceanogr., 49(4, part 2), 2004, 1435?1445

*2:しかも、1種のエサ資源のもとでのギルド内捕食者と同一ギルドの捕食者の共存は不安定平衡らしい。

*3:Karl Cottenie, Nele Nuytten, Erik Michels & Luc De Meester,Hydrobiologia 442: 339?350, 2001.