生態学会感想記

 一月も経って感想記もくそもないような気もしますが(今日は4月17日)。。。まぁ、でもいいです。覚えていることを書いておこうと思います。

  • 私にとって最も印象的だったのはやはり、生態学会に招致されていたChris and Elena夫妻とお話できたことでした。彼らは植物プランクトンのStoichiometryを進化的な視点で調べようとしている方たちで、以前論文の感想をこの日記に書いたのですが、その著者です。自分が最も興味を持っている問題を共有できる人と知人になれたのは初めての経験だったので、本当に大興奮でした。彼らのシンポに対していくつか質問をさせていただいて、疑問を共有していることを確認したり、ポスターを見ていただいて(日本語だったのに!)論文を教えていただいたりして、こんなに幸せな学会は生まれて初めてだと思うような気分でした。*1日本ではまだまだStoichiometryの研究者は少なく、その上、Stoichiometryの進化的研究をしている人はもっと少ないために、今まで結構寂しい思いをしてきたのですが、感動!という感じです。


  • Stoichiometryについての大会企画シンポ:言うまでもなく個人的には最も面白かった発表です。3人の発表者がそれぞれ面白い発表をしていたのだけれども、夫妻の発表とそれに対する質問を考えるので精一杯で、Fagan氏の発表はろくに聞けなかったのが良くなかった。そもそもChrisさんの英語は私にとってはものすごく早く、普通に一対一で会話するのにも、かなり苦労する感じでした。ほとんどカンで答えるような感じで。奥様のほうは発音が聞き取りやすくてありがたかったけれども。内容はChrisさんは、Natureの論文の中身を説明するのと、それの発展版のいくつかを説明していました。Elenaさんのほうは、実際のデータの論文のメタアナリシスで、分類群毎に植物プランクトンのパラメータを取るというような研究の話をしておられました。


  • 個人的にはポスター賞をあげたい!と思うくらい面白い発表がありました。それは、個体群動態を記述した個体ベースモデルと微分方程式の数値解の比較をするためにマメゾウムシを2年間飼い続けた*2という研究です。はじめのうちの大きな振動は両方とも予測性が高いけれど、時間がたつにつれてあらわれて来る小さい振動は、個体ベースでないと再現できないよという結果でした。Tクバ大のTナガ研では個体ベースをどういうときに使うと良いか、という方法論的な研究をされているそうで、「その一環なのかな?」と思いましたが、それにしても2年間生き物を観察し続けるってよっぽどの仕事だなぁと。


  • 群集の自由集会があったこと:発表者のD君曰く「群集の本の紹介キャンペーン」なのだそうで。今度どこだかの出版社から群集の研究をまとめた本がシリーズで出版されるらしく、その著者らで行われた自由集会が二つありました。そのうち「群集生態学における適応」というタイトルのほうを聞きに行きました。個人的に面白かったのは、オタマジャクシが二種類の捕食者に対してそれぞれの可塑性を示すという話と、ツバキとツバキゾウムシの共進化の話の二つでした。ちょっとした障害があって、あまり議論が発展しなかったのが個人的には残念でした。

*1:ポスター発表の際には、Chrisさんに聞いていもらうのでせいいっぱいで、他の方たちに不親切にしてしまったかもしれない。申し訳なかった。。。

*2:毎日資源のマメを取り替えるのだそうで。